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Tel : 089-924-1111

泌尿器科

Department of Urological

ロボット支援手術や小線源治療、免疫療法など高性能な医療技術を導入し、早期回復を図っています。

主な疾患・治療法

このページの内容

外来診療

外来は、月曜日から金曜日までの午前中の診療です。
(特殊外来として失禁外来、ストーマケア外来を実施しています。)

1日患者数は80名前後であり、毎日2~4名の担当医で外来診察をしています。平成15年3月から外来診療の予約制をとり、患者さんをお待たせする時間を出来るだけ短縮できるように心がけています。また地域医療連携室を通じてのあらかじめのFax紹介状で患者さんの情報をお知らせして頂くことは便利でありますので、ご利用ください。しかし、まだまだ不行き届きな点もあり、ご迷惑をおかけしておりますが、よろしくお願いします。

当科の外来診察室には、レントゲン撮影室、内視鏡検査室、超音波検査装置、尿流動態検査室、体外衝撃波結石破砕室が併設されていますので、速やかに処置・検査を実施し、早急に診断・治療が出来るようにしております。
現在、泌尿器科では多くの疾患を対象に「診療ガイドライン」がつくられております。
当科ではエビデンスに基づく診療を心がけておりますが、治療方針の決定に悩む症例も少なくありません。そのような症例を対象に、毎週「泌尿器科キャンサーボード」を開催しております。多くのスタッフが意見を出し合って、よりよい治療に向けて努力しております。

入院診療

入院では、1床の病床を使い、年間約800例の診療を行っています。疾患としては尿路性器悪性腫瘍が最も多く、尿路結石、尿路性器感染症がそれに続いています。

手術件数は年間約350件ですが、開腹手術は少なくなっており、ほとんどの手術が内視鏡を用いて行われるようになりました。表在性膀胱癌や前立腺肥大症に対する経尿道的切除術は古くから行われている内視鏡手術です。副腎腫瘍や腎癌、腎盂尿管癌に対する手術もほとんどを腹腔鏡下に行っています。近年は前立腺癌に対する前立腺全摘も全例腹腔鏡手術で行っており、平成25年には浸潤性膀胱癌に対する腹腔鏡下膀胱全摘術も導入しました。これらの手術は、従来の開腹手術に比べると、術後の回復が早く、入院期間の短縮につながっています。

手術を要する尿路結石は年間80例前後あります。腎、尿管結石に対する手術は体外衝撃波による砕石と内視鏡手術およびそれらの組み合わせを、結石の状態に応じて選択することが推奨されています。当科ではレーザーを用いた砕石術も導入しており、症例ごとに適切な治療戦略が立てられる体制をとっています。

最新情報

近年、新しい医療機器が検査、診断、治療に導入され、従来の診療に変革が見られてきており、新しい情報を取り入れています。

前立腺がんの治療

松山赤十字病院泌尿器科での前立腺がんに対する治療法の年次別変遷では1988~1989年頃では前全例にホルモン療法が実施されており、その後前立腺全摘術、放射線照射などが選択されていました。(図2)

前立腺がんのうち早期前立腺がんには、根治的前立腺全摘除術(開腹的アプローチ、腹腔鏡下アプローチ)、放射線治療(外照射、小線源治療)が選択され、当院では小線源治療は平成21年1月から開始しております。

 

 

松山赤十字病院では、ヨウ素125シード線源永久挿入による前立腺がん密封小線源療法(pdfファイル)が平成21年1月から出来るようになり、早速に1月22日に第一例目の前立腺がん小線源治療を施行しました。小線源治療の開始のお知らせをしましたように、患者さんにアピールと十分なIC(インフォームド・コンセント)をして実践しております。小線源治療の患者さんへのお知らせのなかに、適応条件、除外基準、紹介の際の準備するもの、費用、合併症、連絡先などを記載しておりますので、是非参照してください。小線源治療の適応条件を満たす患者さんがおられましたらご紹介をいただきますと幸いです。

腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術からロボット支援手術へ

腹部にあけた小さな穴から内視鏡や鉗子類を挿入して行う手術を腹腔鏡下手術(鏡視下手術)と言います。従来の開腹手術と比べて、傷が小さく、術後の回復が早いという利点があります。当科では副腎腫瘍、腎腫瘍に対する手術、前立腺癌に対する前立腺全摘、膀胱癌に対する膀胱全摘については基本的に腹腔鏡下手術を行っております。その他、小児停留精巣(非触知精巣)や後腹膜腫瘍、尿路の先天奇形などの診断、治療にも腹腔鏡を応用してきました。この腹腔鏡下手術の「質」をさらに向上させるために開発されたのが手術支援ロボット「ダヴィンチ」です。現在、前立腺癌に対する前立腺全摘、腎癌に対する手術、膀胱癌に対する膀胱全摘、副腎腫瘍に対する手術がロボット支援手術として健康保険の対象となっております。2019年4月に当科でもこのロボット支援手術を導入しました。これまでの腹腔鏡下手術より鮮明な3D画像の元でより精密、正確な操作が行えますので、手術時間の短縮、合併症の軽減、入院期間の短縮等、患者さんのメリットも大きいと考えます。

腎がんの新しい治療法

新しい免疫療法

腎癌や尿路上皮癌(腎孟癌、尿管癌、膀胱癌)の治療としては手術療法が基本ですが、手術ができない症例や手術後に再発した症例に対しては薬物療法が行われます。腎癌に対しては分子標的薬と総称される薬剤(現在、6種類の薬剤が使用可能です)が一次治療として使用されています。尿路上皮癌に対しては白金製剤と呼ばれる薬剤を中心とした抗癌剤の多剤併用が一次治療として行われています。これらの薬剤は一定の効果を得られますが、根治を期待できるものではありません。無効となってきた場合、薬剤を変更して二次治療以降を行うわけですが、ここに新しい薬剤が登場しました。本庶佑先生のノーベル賞受賞で有名になった免疫チェックポイント阻害剤です。腎癌に対してはニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)が、尿路上皮癌に対してはペムプロリズマブ(商品名:キイトルーダ)が保険適応となっています。これらの薬剤は従来の薬剤とは異なった作用(体内の免疫を活性化する)を持っており、これまでとは異なる効果が期待できるわけですが、副作用もまた、これまでの薬剤とは異なっています。これらの薬剤では全身のあらゆる臓器に炎症性の免疫反応(免疫関連有害事象)が発現することが報告されています。なかには間質性肺炎、1型糖尿病、大腸炎などは生命に関わる重大な副作用もあります。重症化を防ぐにはできるだけ早期に発見し、各疾患の専門医と連携して治療に当たることが必要とされています。当院では呼吸器内科、内分泌内科、消化器内科等各科で免疫関連有害事象の担当医が決められており、迅速な対応が可能です。新しい治療も安心して受けていただける体制が整っております。