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成育医療センター

Center for Child Health

妊娠・出産から思春期までの子どもの一連の成長を身体的・精神的に総合的かつ継続的にケアする医療です。

成育センター

成育医療

このページの内容

成育医療センター

成育医療とは、妊娠・出産から思春期までの子どもの一連の成長を身体的・精神的に総合的かつ継続的にケアする医療です。松山赤十字病院では産婦人科(周産期部門)と小児科を機能的に統合した成育医療センターを設置しています。成育医療センターの開設は2004年7月です。このセンターの目的は妊娠中から思春期まで一貫して子どもとその家族を医療、保健、心理面から支援(母親父親支援、育児支援、虐待予防、家族機能形成支援、軽度障害児支援などを含む)を行うことです。

松山赤十字病院新病院の北棟5階の北5病棟では成育医療センター周産期部門として、周産期医療のみならず、成育医療を展開すべく、以下のようなハード面、ソフト面での充実を図りました。ハード面ではLDR(陣痛/分娩/回復室)3室、MFICU(母体胎児治療室)3室を含む個室(トイレ・洗面付き/一室のみシャワー付き)13室、3床〜4床の大部屋2室を整備し、同じフロアにNICU(新生児集中治療室)6床、GCU(継続保育室)6床を設置しています。

LDR(陣痛/分娩/回復室)とは?

まずLDRとは陣痛(labor)、分娩(delivery)、回復(recovery)の略号です。

旧病棟ではお母さんに陣痛室>分娩室>回復室の移動をお願いしていましたが、同じ部屋で落ち着いた環境で分娩後2時間まで過ごしていただく部屋です。写真のように部屋には電子カルテ(ノート型)、超音波診断装置(UST)、新生児蘇生台など、安心安全な出産に対応できる設備を備えるとともに、入院時から家族の方と新しい命の誕生を迎えることができます。またLDR3の部屋ではフリースタイルの分娩が可能な院内助産に対応した分娩室となっています。

分娩は母子ともに安全に行わなければなりません。しかしながら、ある一定の割合で経膣分娩から緊急帝王切開分娩に変更しなければならないことがあります。その場合北棟5階の分娩室から3階の中央手術室へ移動するための専用エレベーターを使用して可能な限り速やかに緊急帝王切開が可能です。

LDR
LDR
LDR3
専用エレベーター/中央手術室

MFICU(母体胎児治療室)とは?

MFICU(母体胎児治療室)では主に切迫早産、妊娠高血圧症候群、双胎妊娠などの異常妊娠の方に入院していただき、集中的に治療が可能な病室です。

分娩後は個室または大部屋に移動していただき、基本的に24時間母子同室となります。近年お母さんと赤ちゃんのスキンシップはその後の育児も含めて、母児関係に重要であると考えられています。出産直後からのカンガルーケアー(早期母子接触)は安全に行えるように配慮しつつ、直接お母さんの胸の上に赤ちゃんを乗せて授乳を開始することから始めて、母子同室によりさらにそのスキンシップを深めていくことができます。さらにお父さんもそこに参加することで家族の絆を作る端緒としたいところです。

MFICU
個室

NICU(新生児集中治療室)、GCU

出産後、特に治療必要な赤ちゃんはNICUすなわち新生児集中治療室に入院します。

このNICUは周産期部門と新生児部門が一体化して機能できるように、分娩室に隣接する位置になるようにワンフロアーに統合集中して設置しています。NICUでの集中的な治療が終了した新生児は退院までの間、GCUで継続的に状態を観察して行きます。

この新生児の治療観察期間は長期間に及ぶこともありますので、お母さんお父さん以外の家族の方が赤ちゃんと面会できるようにNICU/GCUの南側に窓越しに面会できる通路を準備していますのでご利用ください。

NICU
NICU
GCU
NICU/GCU面会入口

成育医療センターの取組み

妊娠、出産から、思春期まで一連の成長を身体的・精神的にケアする成育医療専門のセンターです。

平成16年7月に開設して以来、16周年を迎えました。
「胎児期から思春期まで一貫して子どもとその家族を医療、保健、心理の面から支援を行う。」という成育医療の概念に基づいた医療を目指し、日々の診療にあたっています。

当院の成育医療センターの目的は妊娠中から思春期まで一貫して子どもとその家族を医療、保健、心理面から支援を行うことです。この目的を実現するためのに以下のようなソフトを準備しています。

#1ハローベビーカルテ#2妊娠分娩集中管理システム(OBIS central Ver3.0)#3ハローママ/ハローベビーカード#4マタニティーサポート#5産後うつのための母子同時入院#6新生児里親支援#7Child protection team(CPT)#8成育コミュニティ・ボランティア#9小児カウンセリングSST(ソーシャルスキルトレーニング)などです。

ハローベビーカルテ

ハローベビーカルテ
ハローベビーカルテ

ハローベビーカルテとは胎児期(妊娠12週頃)にお母さんとは異なる胎児IDを作成し、胎児期から時間軸に沿った胎児情報を母体情報とリンクさせることを目的に、胎児IDがそのまま出生後も小児科カルテの小児期IDとなるようにしています。

この胎児〜小児科IDは電子カルテ上で母親IDとリンクされていますので、どちらのIDからも電子カルテ情報へのアクセス可能です。

妊娠分娩集中管理システム(OBIS central Ver3.0)

妊娠分娩集中管理システム(OBIS)
妊娠分娩集中管理システム(OBIS

妊娠分娩集中管理システム(OBIS central Ver3.0)とは胎児情報(胎児心拍数と子宮収縮)を病院内のいつでもどこでもモニタリングできるシステムです。

これらの胎児情報は胎児の健常性を評価することができますので、医師や助産師はこの情報を電子カルテ上で評価することで現在の胎児の状況を判断することが可能となりました。図のように分娩室あるいは入院室での胎児モニタリングの情報は病院内の外来、病棟、ナースステーション、医局内の電子端末からモニタリング、評価可能となります。そのため迅速な手術等を含めた対応が可能です。また手術画像配信システムも装備しましたので、手術室での帝王切開の進行状況を把握することもできます。

ハローママ/ハローベビーカード

ハローママ・ハローベビーカード
ハローママ/ハローベビーカード

ハローママ/ハローベビーカードとは妊娠中および分娩後に妊産婦の皆様に発行されるカードで、24時間母子支援システムとして運用しています。

妊産婦さんが何か不安に思われた時は電話していただけると24時間いつでも病棟の助産師に相談していただくことができます。

マタニティサポート・ママサポート

サポートの様子
サポートの様子
  2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
分娩数 590 571 631 606 529
マタニティサポート(人) 38 49 53 38 13
ママサポート(人) 103 75 144 127 82
NICUママサポート(人) 84 101 110 111 113

マタニティサポートとは育児支援および虐待予防を目的とし、妊娠中から出産を通じて、周産期カウセラーが母親やその家族を対象に行う心理的支援です。必要時に育児に関する情報提供、院内院外との連携等、お母さまとその家族が安心して育児ができるように環境を整備し、継続したサポートを行っています。
出産後、赤ちゃんがNICU(新生児集中治療室)に入院された場合は、すべてのお母さまにお会いし、支援を行っています。

■虐待の4因子とは

  1. 虐待しやすい親、すなわち精神疾患や知的障害をお持ちの方
  2. 家庭環境でストレスをお持ちの方、すなわち10代の若年妊娠、経済的困難をお持ちの方、家族背景に問題(シングルマザー、虐待、DVなど)を有する方
  3. 虐待されやすい子どもたち、すなわち低出生体重児、多胎児、NICU長期入院児を養育される方
  4. 社会的に孤立している方

以上のような背景を有する妊産婦さんで主治医あるいは助産師が必要性を認め、かつ本人がサポートを希望した場合に行われます。これらのサポートの方針は院内院外の多職種で構成される成育医療ケースカンファレンスで協議検討され、継続性のあるサポートが行われています。

産後うつのための母子同時入院

産後うつのための母子同時入院とは、家庭での育児困難を伴う産後うつ病の母とその子を支援する入院加療を行うことです。

その目的は母子の愛着形成を損なわないように母の治療を行うことです。その方法はまず産科病棟または小児科病棟に母子同時に入院します。母に対しては十分な休養、食事、睡眠を確保します。また助産師、周産期カウンセラーによる傾聴を行います。精神科医が必要と認めた場合は薬物療法を行うこともあります。赤ちゃんは病棟スタッフでお預かりして、一時的に母子分離の状態となります。母の状態を観察しながら母の負担にならないように徐々に母子の距離を縮めていきます。ただし精神科的専門治療が必要と判断された場合には愛媛大学医学部への転送となる場合もあります。産後うつ病は早期発見(産後1〜2ヶ月)が重要です。産後うつ病発症のリスク因子は以下のような因子が挙げられています。

■産後うつ病発症のリスク因子

  1. 不妊治療後
  2. 高齢初産
  3. 緊急帝王切開などの分娩時の不測の事態
  4. 母の特性
  5. 支援者不足などの家庭環境にストレスを持つ方
  6. 強い育児不安を訴える方など

早期支援および治療の介入が必要で、見守りや安静睡眠の確保のみならず、小児科、精神科、産婦人科との連携による積極的な投薬治療を考えるべきです。松山市では産後うつ病のみならず、産後の育児不安、育児困難な方に対する産後ケア事業を開始しています。ちなみに当院も産後ケア事業に参加する予定です。

新生児里親支援

お子様を妊娠し出産予定だけれども様々な理由によりご家庭で育てる事が難しい、という方からのご相談をお受けしています。できる限りご家族に育てていただくために支援いたしますが、やむを得ずお子様を手放さざるをえない状況の場合、新生児里親委託制度をご案内しています。

新生児里親委託は長期的に特別養子縁組(戸籍上も本当の親子になる制度)を視野に入れ生後間もなくからお子様を里親さんに預け育てていただく制度です。乳児院などの施設入所と異なり、特定の養育者との間に安定した関係を築くことができ愛着形成に優れています。

愛媛県では民間の里親斡旋機関がないため、里親選定は愛媛県福祉総合支援センター(児童相談所)に依頼しています。里親さんにはお子さまの出生前から母親(両親)学級を受けていただき、出生後早期に当院にて育児技術習得のための母子入院をしていただき、その後もご希望があれば、育児相談、予防接種、乳児健診等を当院にて継続していただくことができます。

当院では2015年より新生児里親委託の取り組みを開始しました。2021年までに妊婦さんからのご相談12件、そのうち3件は実母の方による育児を継続していただくことができ、9件が新生児里親委託制度(その後全例特別養子縁組成立)を利用されました。
予期せぬ妊娠等でお困りの方はぜひご相談下さい。

新生児里親委託の相談件数
新生児里親委託の相談件数
2016/7月 愛媛新聞
2016/7月 愛媛新聞

Child protection team(CPT)

CPTは病院における児童虐待の防波堤です。

急増する児童虐待に対する対応は医療現場においても最重要課題の一つです。当院では院内虐待対応チームCPT(Child protection team)を整備し、児童虐待に対して組織的に対応するための取り組みを行っています。
具体的には、被虐待児対応の医療技術向上を目的とした研修の実施、愛媛県児童虐待防止医療ネットワーク事業の推進、ホットラインの開設によるスムーズな多機関(県児童相談所、市子育て支援課、警察、学校、児童養護施設等)連携などです。CPTが充実することにより、虐待の早期発見と入院治療(一時保護委託入院)、里親養育推進の支援、子どもの死亡検証の推進など、医療を核とした幅広い取り組みが可能となりました。
児童虐待対応の中核病院として多職種、多機関との連携・協力体制をさらに整備し、その役割を果たしていきます。

児童虐待対応件数

他機関連携カンファレンス状況

 

 

 

成育コミュニティ・ボランティア

成育コミュニティ・ボランティア活動は教育と医療が連携し、教育現場への「成育コミュニティ・ボランティア」の派遣を通じて、子供達のコミュニケーション能力を向上させることを主な目的に平成24年度から始まりました。

「成育コミュニティ・ボランティア」とは松山赤十字病院が養成した、コミュニケーションスキルを身に付けたボランティアのことです。
年間10回の講座を受講し認定を受けているボランティアは現在約150名。
医療や教育分野での実務経験者や、看護師や臨床心理士、臨床発達心理士等の有資格者も含まれています。
報酬を目的とせず、児童生徒や保護者との交流、また、児童等の健全育成のために活動することを目的としています。

教職員と連携をとりながら、主に教育補助やサポートを行っています。
平成24年度 1校から初めたボランティア活動は、5校、10校と広がり、
平成28年度 11校
平成29年度 15校
平成30年度 19校
令和元年度 19校
令和2年度  17校(コロナの影響有り)
令和3年度  19校

今年度活動しているボランティアは、25名
年間活動数は、2学期末までで総数282回(コロナの影響で活動回数は減っています)
コロナ禍の中でも、子どもたちの為に活動しました。

小児カウンセリング、SST(ソーシャルスキルトレーニング)

小児担当のカウンセラーにより、子どもへのカウンセリング、SST、親面接、発達検査等が行われています。心理的要因で身体症状が出たり、環境に不適応を起こしたりした場合にカウンセリングを行うことで、感情を抑え込んでいた子どもが感情表現できるようになったり、心理的エネルギーが向上して意欲的に活動できるようになったりします。

成育医療小児科カウンセリングでは、子どもと子どもを取り巻く環境へのアプローチをすることにより、子どもさんの中にある成長の可能性を親御さんと一緒に応援する姿勢を大切にしています。
またSSTはコミュニケーションが苦手な子どもと遊びを通じて関わり、コミュニケーションスキルアップを目指すものです。

令和元年度カウンセリング統計
受診者数189名
カウンセリング1114回
心理検査105回

よくある相談内容
  • 身体症状が続く(検査したが身体的に異常はない、薬を服用しても症状が続く)
  • 学校に行けなくなった(理由がよくわからない)
  • 極端に体重が減った(ダイエット意識のあるなしに関わらず、食事がとれない)
  • 攻撃的な行動をとるようになった(家族や物に対して暴言・暴力がある)
  • 集団生活で対人トラブルが多い(先生や友だちとの関係がうまくとれない)
よくある質問

子どもさんが安心して感情表現できるようになることをめざします。まず、カウンセリングルームやカウンセラーとの関係作りをします。
子どもさんによって、会話で行う場合もありますが、言語表現がしにくい場合や、子どもさんの希望によって、遊戯療法(プレイセラピー)を行うことも多いです。
特別な用具を使うのではなく、日常的なおもちゃやボードゲームを使って、カウンセラーの見守りの中で楽しく遊ぶことをめざします。
カウンセラーは子どもさんが自発的に発言したり行動することに関心を向けて見守ります。
会話で行う場合も、カウンセラーは聴き手として、子どもさんの話を聴き、自然に自発的な発言や感情表現が出ることを見守ります。

困った問題を抱えたお子さんの状況を詳しく知るために、親御さんから状況の説明をしていただき、お子さんの問題の共有に取り組みます。日常生活の中で、どんな場面で問題が軽減するか、どう関わった時にうまくいくかについてご一緒に考えていきます。

このように成育医療センターでは妊娠・出産から思春期まで子どもたち一連の成長とそれを支える家族を身体的、精神的にケアすることを基本理念としています。

すなわち、子どもたちとその家族の身体面、メンタル面へのサポートを関係性(つながること)、継続性(続けること)、重層性(多くの職種)を重視しながらサポートします。