これまでの伝統的な医学では病気を治癒させること、そしてできるだけ延命をはかることが目標でした。もちろん、これは重要なことです。
しかし、忘れられていた大切なことがあります。それは患者さんのQOL(Quality of life、生活の質、命の質)です。どんな先端治療を行っても治らない病気がたくさんあります。病気が治らないとき、そして障害が残るとき、従来は『医学の限界』と考える傾向がありました。しかし、それは違います。障害に対するリハビリテーション治療を行うことによって、障害を最小限にでき、障害が残っても最大限のQOLを達成することができるはずです。
このようにQOLを重視しながら障害を治療する医学がリハビリテーション医学です。
愛媛県では急性期リハビリテーション治療が遅れています。急性期医療を担当する基幹病院に、専任のリハビリテーション科医師が配置されたのは、わずか22年前の当院が初めてでした。その後も、細々と診療を続けておりますが、一部先進県との差は開く一方です。
急性期医療の中でリハビリテーション医療がどのような役割をはたしているか、果たすべき使命を理解していただくことが重要であると考えています。