リハビリテーション治療は疾患や外傷を直接治すものではなく、環境や手順を工夫することによってよりよく生活していくことを目指すものです。
そのため松山赤十字病院においても、疾患や外傷を直接治す一般の診療科とは治療の方法が異なります。
外来では手術治療を行いたくないスポーツ障害の患者さんに対するスポーツリハビリテーション治療を行っています。
具体的には下肢の障害に対する手作り足底板の作り方指導、試合や練習の妨げにならないように配慮した貧血の治療、病態にあわせたストレッチ方法の指導などです。
入院中の患者さんに対しては急性期リハビリテーションを行っています。
そのためリハビリテーションといっても対象は、手術後や脳卒中発作後などの医学的管理がまだまだ必要な時期の方々です。治療が一段落して退院するときにスムーズに自宅に帰れるようにするのが当科の目標です。
当科での急性期リハビリテーション治療の目標は、ADL(日常生活動作、能力障害全般を意味します)能力の向上による“寝たきりの予防”と“家庭復帰促進”と考えています。そのためのリハビリテーションプログラムを医師、看護師、理学療法士、作業療法士等が共同で作成し、これに基づくリハビリテーションを集中的に行っています。
当科でのリハビリテーション治療の基本はADL訓練です。ADLは子供の時に習得していて、方法・手順については殆ど無意識のうちに実行していますので、非常に容易なものと考えられています。しかし、身体の一部に麻痺や筋力低下などの機能障害がおこりますと、従来習得した方法・手順ではADLは行えなくなります。この場合でも適切な指導を受け方法・手順(姿勢の取り方、生活環境の整備、道具の使い方など)を習得しなおせば、機能障害自体が不変あるいは僅かな改善しかない場合でも、残った機能の活用と潜在機能の開発とによってADL能力を飛躍的に向上させることが出来ます。この点に注目し、機能障害、機能回復にこだわり続けることなく、能力障害へ早くアプローチすることがADL訓練です。別の言い方をしますと、ADL訓練とは麻痺をよくする努力をするのではなく、麻痺した状態で日常生活ができるように訓練するのです。
また自宅復帰のためには、自宅の環境やご家族の理解が非常に大切ですが、当科では医療社会事業部と緊密に連絡を取りながら、自宅環境整備、ご家族との話し合い、介護保険の利用方法の相談などにも力を入れています。自宅環境の整備のためにスタッフが、退院前に患者さんの自宅を訪れることも行っています。

職場復帰・家庭復帰・社会復帰・スポーツ復帰など、復帰を目指す治療を行います。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 田口(スポーツ外来) | 田口(スポーツ外来) | 田口(スポーツ外来) | 田口(スポーツ外来) | 田口(スポーツ外来) |
| 急性期部門 | |
|---|---|
| 紹介患者数 | 5,922人 |
| 全入院患者に占める割合 | 44.9% |
| 平均年齢 | 73.7歳(0~105歳) |
| 性別 | 男性3,052名、女性2,870人 |
| 疾患名 | 症例数 | 割合 |
|---|---|---|
| 脳血管 | 631名 | 10.7% |
| 心疾患 | 572名 | 9.7% |
| 血液の癌 | 475名 | 8.0% |
| 肺炎 | 374名 | 6.3% |
| 大腿骨骨折 | 274名 | 4.6% |
| 変形性股関節症 | 194名 | 3.3% |
| 変形性膝関節症 | 194名 | 3.3% |
| 肺癌 | 191名 | 3.2% |
| 大腸癌 | 189名 | 3.2% |
| 腎疾患 | 187名 | 3.2% |
| 泌尿器癌 | 165名 | 2.8% |
| 神経疾患 | 135名 | 2.3% |
| 脊椎手術 | 120名 | 2.0% |
| 胃癌 | 117名 | 2.0% |
| COVID-19 | 93名 | 1.6% |
| 関節リウマチ | 67名 | 1.1% |
| 糖尿病 | 38名 | 0.6% |
| 半月板損傷 | 24名 | 0.4% |
| 前十字靱帯損傷 | 23名 | 0.4% |
| 股関節唇損傷 | 22名 | 0.4% |
| その他の癌 | 322名 | 5.4% |
| その他の骨折 | 119名 | 2.0% |
| その他の腫瘍 | 76名 | 1.3% |
| その他 | 1,373名 | 23.2% |
| 紹介科 | 患者数 | 割合 |
|---|---|---|
| 整形外科 | 939名 | 15.9% |
| 内科 | 634名 | 10.7% |
| 循環器内科 | 557名 | 9.4% |
| 呼吸器内科・外科 | 549名 | 9.3% |
| 外科 | 539名 | 9.1% |
| 脳神経外科 | 459名 | 7.8% |
| 脳神経内科 | 336名 | 5.7% |
| 腎臓内科 | 302名 | 5.1% |
| 泌尿器科 | 297名 | 5.0% |
| 救急部 | 274名 | 4.6% |
| 消化器科 | 240名 | 4.1% |
| リウマチ科 | 198名 | 3.3% |
| 肝胆膵内科 | 124名 | 2.1% |
| 血管外科 | 116名 | 2.0% |
| 臨床腫瘍科 | 77名 | 1.3% |
| 心臓血管外科 | 72名 | 1.2% |
| 乳腺外科 | 64名 | 1.1% |
| 小児科 | 42名 | 0.7% |
| 形成外科 | 37名 | 0.6% |
| 産婦人科 | 34名 | 0.6% |
| 耳鼻科 | 14名 | 0.2% |
| 皮膚科 | 10名 | 0.2% |
| 歯科 | 8名 | 0.1% |
| 氏名(筆頭者) | 題名 | 掲載雑誌名 |
|---|---|---|
| 児島 由起子 | リウマチ科以外の診療科へ入院した関節リウマチ患者の把握と介入への取り組み | 臨床リウマチ |
| 田口 浩之 | 大腿骨頚部骨折:転倒は骨折の原因なのか結果なのか? – 転倒結果仮説:長生きするといずれ立っただけで骨折する – |
Monthly Book MEDICAL REHABILITATION 2020年11月号 MB Med Reha |
| 氏名(発表者) | 演題 | 学会名 | 発表月日 |
|---|---|---|---|
| 大野 拓哉 | 在宅酸素療法導入後3ヶ月での健康関連QOLに影響する因子について | 第28回愛媛県理学療法士会学術集会(松山) | 2024.3.10 |
| 田口 浩之 | 症例報告:指基節骨近位部骨折に対する経中手骨骨頭ピンニング手術 | 第61回日本リハビリテーション医学会学術集会(東京) | 2024.6.15 |
| 藥師寺 愛美 | 左被殻出血後に麻痺手での食事動作獲得を目指し両手動作や体幹機能に着目した一症例 | 第24回愛媛県作業療法学会(松前) | 2024.8.25 |
| 篠森 丞 | 公募シンポジウム6 急性期病棟でのOTの実践と課題 |
第26回日本褥瘡学会学術集会(姫路) | 2024.9.6 |
| 田口 浩之 | 軽微な外力により発症したC5腕神経叢麻痺の特徴的だが見逃されがちなMRI所見 | 第60回日本赤十字社医学会総会(仙台) | 2024.10.17 |
| 伊東 孝洋 | 地域防災訓練における愛媛JRATの活動 | 第60回日本赤十字社医学会総会(仙台) | 2024.10.17 |
| 横井 漱馬 田口 浩之 中野 洋一 |
嚥下障害(ワレンベルグ症候群)患者に対してのチーム医療の取り組み事例 | 第60回日本赤十字社医学会総会(仙台) | 2024.10.18 |
| 篠森 丞 | 多職種共同で退院支援が繋がった頭頚部癌術後の一症例 | 第58回日本作業療法学会(札幌) | 2024.11.9 |
| 眞鍋 綱介 | 意識障害を呈した症例に対して、ICU退室後におけるシームレスな作業療法の実践 | 第58回日本作業療法学会(札幌) | 2024.11.10 |
| 金並 将志 | 「早期からの充実した理学療法士提供体制を構築するためには」 | 協会指定管理者職域別研修会・急性期(Web) | 2024.12.8 |
| 氏名(発表者) | 題名 | 講演名(開催地) | 発表月日 |
|---|---|---|---|
| 伊東 孝洋 | 第7回愛媛県災害リハビリテーション研修会(Web) | 愛媛県災害時要配慮者支援チームWEB研修会(Web) | 2024.1.20 |
| 大野 拓哉 | 当院におけるHOT外来での呼吸リハビリテーション | 愛媛県呼吸不全を考える会2024(松山) | 2024.3.9 |
| 高岡 宏 | 急性期の作業療法 | 現職者研修会(松山) | 2024.3.9 |
| 川中 理子 | 摂食・嚥下障害のリハビリテーション | 愛媛県在宅介護研修センター3月講座(動画配信) | 2024.3.10 |
| 伊東 孝洋 | 令和5年度愛媛県災害時要配慮者支援チーム活動報告 | 令和5年度愛媛県災害時要配慮者支援チーム員登録者研修会(松山) | 2024.3.16 |
| 伊東 孝洋 | 災害リハビリテーションの実際 | 公益社団法人愛媛県理学療法士会第11回一般研修会(Web) | 2024.3.30 |
| 川中 理子 | 摂食・嚥下の基礎知識 | 愛媛県在宅介護研修センター7月講座(動画配信) | 2024.7.8 |
| 川中 理子 | 摂食嚥下の仕組みと食事支援のコツ | 愛媛県在宅介護研修センター研修(松山) | 2024.7.25 |
| 川中 理子 | 地域包括ケアシステムの推進に向けての各県の取り組みと課題~愛媛県の現状と課題~ | 第19回四国言語聴覚学会(観音寺) | 2024.9.8 |
| 伊東 孝洋 | 令和6年能登半島地震における本部運営の実際 | 令和6年度愛媛JRAT本部運営要員研修会(松山) | 2024.9.15 |
| 川中 理子 | 摂食・嚥下障害の原因と見つけ方 | 愛媛県在宅介護研修センター10月講座(動画配信) | 2024.10.3 |
| 伊東 孝洋 | 愛媛県災害時要配慮者支援チームの活動 | 令和6年度愛媛県災害時要配慮者支援チーム員養成基礎研修会(松山) | 2024.10.12 |
| 吉田 弘輝 | 事例報告・事例検討 | 現職者研修会(松山) | 2024.11.8 |
| 川中 理子 | 聞こえチェック&聞こえの改善 | 愛媛県在宅介護研修センター開設20周年記念イベント 体験型介護講座(松山) | 2024.11.10 |