外界情報の約80%は視覚によるものと言われており、良好な視力を維持すること(Quality of Vison)は生活の質(Quality of Life)を維持するために大切です。当科の医師は患者さんに寄り添い、患者さん一人一人の生活環境を考慮したうえで、最善の医療を提供できるように診療に取り組んでおります。
入院・手術が必要な代表的網膜疾患は裂孔原性網膜剥離、重症の糖尿病網膜症、網膜前膜(黄斑前膜)、黄斑円孔です。
当院ではより小さな傷口からの手術(小切開・低侵襲手術)が可能な設備を整えております。入院期間は2日間から7日間です。ただし重症の場合には2週間を超えることもあります。可能な限り、短い入院期間で退院できるように心がけております。
外来での治療が可能な代表的網膜疾患は加齢黄斑変性、軽症~中等症の糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎です。いずれの病気も視力低下の原因として最も多い病態は網膜の中心部(黄斑部)に水がたまること(黄斑浮腫)です。
当院では黄斑浮腫に対して最も治療効果の高い治療である抗VEGF薬の眼内注射を行っています。その他にもステロイド局所注射、網膜光凝固治療も行っています。網膜光凝固治療は痛みを伴うこともありますが、当院では痛みが出にくい光凝固装置を導入しています。
上記の網膜疾患の治療には有効な治療法がいくつかありますので、患者さん一人一人の希望もお聞きして、最も納得して頂ける治療を提供できるように心がけております。
眼科において、手術治療を受けられる患者さんが最も多い疾患です。
当院では、安全性の高い手術、目に負担の少ない手術を行っております。片眼手術の場合には1泊2日の入院、両眼手術の場合には4泊5日の入院で治療を行っております。
*日帰り手術および多焦点眼内レンズの手術は行っておりません。
日本において、40歳以上の人のうち20人に1人が緑内障と言われています。緑内障には・正常眼圧緑内障・閉塞隅角緑内障・開放隅角緑内障・続発緑内障・血管新生緑内障と様々な種類がありますが、いずれも眼の神経が障害され、それが進行すると視野異常として現れます。一度障害された神経は元に戻りませんので、緑内障は基本的には治らない病気ですが、眼圧を下げることで進行を遅らせることができます。
当科では主に点眼治療とレーザー治療を行っております。
緑内障の種類や進行の度合いは人それぞれですので、その人に合った治療を提案していきます。
加齢に伴って生じる眼瞼や涙器の傷害で受診される患者さんも増えてきております。 当科では眼瞼の疾患として眼瞼下垂、内反症の手術や涙道疾患としての慢性涙嚢炎に対する涙嚢鼻腔吻合術を積極的に行っております。さらに当科で行った眼部腫瘍の統計では、高齢化と診断技術の向上により悪性腫瘍の頻度が次第に高くなっていることがわかりました。眼瞼悪性腫瘍の手術は腫瘍のみならず周囲の正常皮膚を含めた拡大切除の必要があり、眼瞼形成が重要です。眼は視覚を司る器官であるとともに容貌の中心ですから、外眼部疾患は美容的に問題になることが多く、その治療にあたっては患者さんの要望にできるだけ応えられるよう努力しております。
角膜は眼球の最表面にあり、非常に痛みに敏感な組織です。異物が飛入して角膜に傷が付き眼痛を訴える患者さんに、点眼加療や必要に応じて処置を行い、対応しています。
手術対象となる角結膜疾患は頻度としては高くありませんが、代表的なものに翼状片があります。透明な角膜に結膜が入り込む病気で、病状に応じて手術の適応となり、当科では1泊2日の入院で翼状片切除術を行っています。