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外科でのロボット(ダヴィンチ)支援手術について

消化管外科領域におけるロボット(ダヴィンチ)支援手術

“手術支援ロボットda Vinci(ダヴィンチ)”を用いた消化管癌(直腸癌・結腸癌・胃癌)の手術を2020年より導入・開始しております。

ロボット支援手術は、これまで腹部の消化器癌で広く施行されるようになっていた腹腔鏡手術に対し、多関節機能、手振れ防止機能、スケーリング機能などを有した手術支援ロボットを3D環境下で操作する事で、より精密な手術を行うために開発された医療機器です。誤解の無いように追加しておくと、支援ロボットで自動的に手術が行われるのではなく、術者の手指の動きを支援ロボットアームに接続した鉗子などが患者さんの体内で正確・精密に再現されるシステムになっています。従って、我々外科医が、癌に対する手術を施行する上で考慮する、癌の根治性と機能温存という、相反する問題を解決しうる最新・最良の技術だと考えられています。

ロボット支援直腸切除・切断術は2018年4月に保険適応となり、当科では2020年2月より導入、2021年4月からは保険診療での手術を開始しました。また、ロボット支援胃切除術・噴門側胃切除術・胃全摘術も2018年4月に保険適用とされており、2022年4月より保険診療による手術を開始しています。さらに、ロボット支援手術の保険適応拡大に伴い、ロボット支援結腸悪性腫瘍手術も2022年4月に保険適応され、同様に2024年1月より保険診療での手術を開始しました。

消化管外科領域におけるロボット支援手術件数

当科にてロボット支援手術を開始後2024年末までに、直腸悪性腫瘍手術は111例、結腸悪性腫瘍手術は61例、胃悪性腫瘍手術は75例においてロボット支援手術が施行されました。2024年は、直腸悪性腫瘍の83%、結腸悪性腫瘍の46%、胃悪性腫瘍の80%がロボット支援手術にて施行されております(図参照)。このように、当科において開腹あるいは腹腔鏡手術に対しロボット支援手術の適応が急激に拡大しているのは、これを施行する外科医(当科スタッフ)がその有用性を認識し実感しているためと思われます。当院では2019年に1台目のダヴィンチXが導入された後、2023年11月には2台目のダヴィンチXiも導入され、現在はダヴィンチ2台体制で手術運用を行っています。今後もロボット支援手術施行件数はさらに増加すると思われます。