虚血性心疾患や脳血管障害などの血管疾患は、高齢者社会の到来した我が国では増大の一途であり社会問題になっています。血管疾患は動脈硬化が原因ですが、動脈硬化は遺伝素因や加齢を背景として①高血圧、②糖尿病、③高脂血症、④喫煙などの危険因子(4大危険因子)が加わり進展します。これらの危険因子のうち高血圧患者は約3,300万人、また50歳以上の日本人女性では50%以上が高脂血症患者であるといわれておりその予防、治療が重要となっています。
当科では、心エコー、頚動脈エコー、頭部MRI、眼底検査、腎レノグラムなどに様々な検査で臓器障害の程度を評価し、お一人ごとに適した治療方針を立て、生活指導や薬物治療を行っています。最近では、栄養過多と運動不足のため、メタボリックシンドロームと呼ばれる病態が動脈硬化の新たな危険因子として注目されています。メタボリックシンドローム(メタボ)とは、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態を差し、個々の病気を別々に治療するだけでは十分な治療効果が上がらず、食事や運動などの生活習慣を総合的に改善することが大切です。当科では総合的な視点から、治療を進めるように心がけています。