運動器疾患(骨折、脊椎脊髄疾患、変形性関節症など)・中枢神経疾患(脳梗塞、くも膜下出血、脳腫瘍など)をはじめ、呼吸器疾患・循環器疾患・がんの患者さんに対して、理学療法を提供しています。術後や発症早期から積極的にリハビリを開始し、体力・筋力の低下(廃用症候群)の予防に務め、早期離床、移動手段の確立を目指します。また、手術を必要としている整形疾患や外科系疾患の患者さんたちには、手術前からリハビリテーションの説明・指導を行い、安心して手術後の離床できるよう取り組んでいます。
リハビリテーション部は、北棟の最上階(6階)に位置しています。屋外に庭があり、スロープや階段を設置しており、屋外歩行練習ができるようになっています。また、屋外に出ることで季節を感じ気分転換を図ることもできます。
リハビリ室には心肺運動負荷試験を行う機器(CPX)を設置しており、運動中の心臓の機能・肺の機能・骨格筋機能を同時に測定でき、運動能力・心肺機能の指標を算出し、退院後の運動・生活指導を行っています。検査の際には、医師も同席し実施しています。
食べることや服の着替え、仕事や家事、趣味など、人の日常生活に関わる全ての諸活動を「作業」と呼んでいます。
急性期病院における作業療法士の役割は、対象となる疾患が多い為に多岐にわたります。特に、長期臥床による心身機能低下を予防する為に、早期からの介入によって寝たきりを予防するように努めています。
また、入院や手術に起因する高齢者のせん妄(様々な要因によって引き起こされる意識障害であり認知症に似た症状を呈する)への予防・対応として、その人が慣れ親しんだ作業活動やレクリエーション、覚醒度を向上する為の離床訓練を積極的に行っています。
言語聴覚士とはリハビリテーションを通して、ことばによるコミュニケーションに問題がある患者さんに対し、一人一人の状態に合わせたコミュニケーション手段の獲得をサポートし、また、摂食・嚥下に問題がある患者さんに対しては、一人一人の状態に合わせた食事方法、食形態の検討を行う専門職です。当院には現在6名の言語聴覚士が在籍しております。
言語聴覚療法では、入院患者さんに対し失語症や構音障害、高次脳機能障害、摂食嚥下機能障害についての評価及び訓練を実施しております。対象疾患は多岐に渡り、各科・各部門と連携して入院後早期からリハビリテーションの介入をし、患者さんの一日も早い回復を目指し日々取り組んでおります。
摂食嚥下機能障害の患者さんに対しては、耳鼻咽喉科の協力の下、VE(嚥下内視鏡検査)・VF(嚥下造影検査)検査を実施しております。それにより患者さんの嚥下状態を把握し、訓練プログラムや食事形態、栄養方法の検討を行っております。特に近年誤嚥性肺炎で入院される患者さんの増加に伴い、摂食嚥下リハビリテーションの依頼が急増し、その数は2011年から2021年までの10年間で5.6倍にもなっています。
失語症や高次脳機能障害の患者さんに対しては、入院後なるべく早い段階で、患者さんとご家族はもとより医療従事者とのコミュニケーション手段を確保することを目指しています。また、状態が安定すれば必要に応じてSLTA(標準失語症検査)やWAIS-Ⅳ(ウェクスラー成人知能検査)などの検査を実施しております。それらにより患者さんの言語や高次脳機能の状態を把握し、社会復帰に向けた適切な訓練及び患者さん本人やご家族へのサポートを行っております。