採用情報
初期臨床研修医

救急医療・急性期医療・一般医療の3領域を、
確実に学べるのが何よりの魅力。
自分の進路を多様な経験の中で確認できます。

消化管内科(胃腸センター)

1.診療科紹介

 消化管内科(胃腸センター)は計8名の常勤医師が所属し、消化管内科(胃腸科)領域(肝胆膵以外の消化器内科領域)の診療を担当している。内視鏡治療を含む消化管内視鏡検査処置件数は年間12000件を超え、中四国地方で最大規模の消化管内科専門施設として、消化器関連学会(消化器病学会、消化器内視鏡学会、消化管学会、カプセル内視鏡学会)の指導施設に認定されている。当科では、胃癌や大腸癌などの消化管癌の早期診断・内視鏡的切除と胃酸関連疾患(消化性潰瘍やピロリ菌感染症など)の診療および炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)の診療を3本柱とし、各分野において全国レベルの医療を実践するよう努めている。また、消化管出血などの救急診療に加え、地域に先駆けてカプセル大腸内視鏡を導入するなど、初期診療から高度な専門的治療まで消化管に関するあらゆるニーズに積極的に応えられる体制づくりを心掛けている。

診療分野

 当センターはスタッフ一同で消化管疾患全般の診療に携わっているが、部長・副部長をはじめとする上級医師は、各々の専門領域の主治医として担当医(医師・レジデント・臨床研修医)を指導しながら診療を行っています。

(1)食道癌・胃癌・大腸癌

 当センターでは食道癌、胃癌、大腸癌の早期診断と内視鏡治療を大きなテーマとし、さまざまな内視鏡機器(超音波内視鏡、拡大内視鏡、NBI内視鏡など)を用いて精度の高い術前診断を行い適切な治療法を決定しています。近年、新たな治療法として内視鏡的粘膜下層切開・剥離術(ESD)が一般化し、大きな病変に対しても一括切除が可能となった結果、消化管早期癌症例の約8割に内視鏡的切除術を施行しています。

(2)胃酸関連疾患(消化性潰瘍やピロリ菌感染症など)

 心窩部痛などの上部消化管症状を主訴に当科を外来受診する患者は、有症状患者の過半数を占めています。その多くは胃十二指腸潰瘍や胃炎あるいは逆流性食道炎などの胃酸関連疾患症例であり、H.pylori 感染ないしNSAIDs服用に関連しています。2013年にH.pylori除菌療法の適応が拡大されたことにより除菌療法施行件数が急増し、近隣施設からH.pylori除菌療法に関連する諸問題に関係する紹介が増加しています。当科では日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医4名を擁し専門的な診療にも対応しています。

(3)炎症性腸疾患

 炎症性腸疾患(主に潰瘍性大腸炎やクローン病)の診療には豊富な経験と最新の知識が不可欠であり、難治例に対しては血球成分除去療法や抗TNF-α抗体製剤などの治療も実施しています。当センターでは中四国をはじめ全国から炎症性腸疾患患者をご紹介いただき、2021年度は潰瘍性大腸炎患者約379例、クローン病患者約136例の診療を行っており、西日本有数の症例数です。

(4)消化管出血(緊急内視鏡)

 今日、高齢化による心血管系疾患や整形外科的疾患の増加に伴う抗血栓剤や消炎鎮痛剤(NSAIDs)の長期投与によって、消化管出血(吐下血)患者が急増しています。当センターでは地域連携病院、救急病院の消化管部門として吐下血ホットラインを開設し、24時間体制で緊急内視鏡による止血術により年間300例以上の上部消化管出血(主に胃・十二指腸潰瘍出血)および中下部消化管出血(小腸出血および大腸出血)患者の救命に取り組んでいます。また、カプセル小腸内視鏡とバルーン小腸内視鏡によって小腸出血に対する内視鏡的止血件数も増加傾向です。

2.指導スタッフ

指導責任者 蔵原晃一
指導医 池上幸治、白井慎平、野坂佳愛

3.一般目標(GIO)

 消化管疾患のプライマリケアに必要な基本的態度・技能・知識を学び、臨床医として必要な消化管疾患に関係する基本的臨床能力を習得すること。

4.行動目標(SBO)

I.行動目標

(1)医療面接の目的を説明できる。

 (2)医療面接と全身観察を行い、さらに腹部の診察ができ、記載ができる。

 (3)療録を正確かつ遅滞なく完成することができる。

 (4)処方箋、各種指示書を誤りなく作成することができる。

 (5)消化管出血患者の輸血の指示、輸液・電解質の管理ができる。

 (6)消化管の感染症管理ができる。

 (7)経腸栄養・中心静脈栄養などの栄養・輸液管理ができる。

 (8)指導医のもとで上下部内視鏡の挿入・観察ができる。 

 (9)指導医のもとで胃管の挿入ができる。

(10)指導医のもとでイレウスチューブの挿入ができる。

(11)指導医のもとで腹腔穿刺ができる。

(12)血液・生化学検査の結果や画像所見から、必要な治療、追加検査を判断できる。

(13)画像カンファレンスに参加することにより基本的な画像診断力を身に着けることができる。

 

II.経験すべき症状・病態・疾患

(1)頻度の高い症状

 ・体重減少、増加 ・発熱 ・嘔気、嘔吐 ・腹痛 ・便通異常(下痢、便秘)

(2)緊急を要する症状・病態(各1例以上)

 ・ショック ・急性腹症 ・消化管出血

(3)経験が求められる症状・疾患(各2例以上)

①上部消化管疾患(胃潰瘍、胃癌、食道癌)

②小腸・大腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、大腸癌、大腸憩室)

③横隔膜疾患(腹膜炎)

 

III.特定の医療現場の経験

(1)救急医療

 ・消化管出血患者の初期治療ができる。

 ・専門医への適切なコンサルテーションができる。

(2)緩和・終末期医療

 ・心理、社会的側面への配慮ができる。

5.方略(LS)

A.カンファレンス関係

(1)術前合同カンファレンス:毎週水曜17:30~、当科、外科、放射線科、病理診断科の医師が出席し、画像を中心に手術症例の術前評価について検討する。

(2)入院カンファレンス:毎週月曜18:00~、過去1週間以内に当科に入院した症例の検討を行う。

(3)病棟回診:毎週火曜 8:20~、当科入院中の全患者について回診を行う。

(4)X線・内視鏡カンファレンス:毎週月曜18:00~、木曜18:00~、当科で撮影したX線画像と内視鏡画像を全て当科医師で供覧し、所見と診断をチェックする。

 

B.検査と実習

(1)病棟業務
毎日、上級医、指導医とともに受け持ち患者を回診する。カルテに記載した事項に対して上級医、指導医の指導を受ける。

(2)内視鏡検査、X線造影患者
共に毎日施行されている。受け持ち患者の検査を見学することに加えて、画像カンファに参加することにより基本的な画像診断力を身に着ける。

(3)がん患者のインフォームド・コンセント
がん患者等に対して、経験豊富な指導医のもと医療・ケアチームの一員としてアドバンス・ケプラニグを踏まえた意思決定支援の場に参加する。

6.評価

  1. 形式的評価:毎日
    上級医および指導医より、行動目標、経験目標(診察法・検査・手技・症状・病態・疾患)の各項目についてフィードバックを受ける。各ローテート終了時に、指導医から研修医、研修医自己評価、メディカルスタッフから研修医、研修医から指導医への評価を行い、総括的強化の指標とする。
  2. 総括的評価:各ローテーション終了時および半年に一度
    ローテーション終了時に評価表に基づいて個人面談の形で直接研修医にフィードバックする。評価表を半年に一度集計し、研修システム全体の見直しを行う。