子宮動脈塞栓術(UAE)とは、
子宮筋腫を栄養している子宮動脈を塞栓物質で塞栓(つめて)し、子宮筋腫を小さくする方法です。この方法でお腹を切らずに子宮筋腫を治療できます。


    以下に子宮筋腫とその治療法について説明します。
    それぞれの治療法を理解いただいて、あなたにあった治療を選んでください。


子宮筋腫とは何でしょう?
   子宮の平滑筋から発生する良性の腫瘍で30〜40代の女性の3〜4人に1人は子宮筋腫があると
   いわれています。そのうち治療が必要な人は
10%以下です。
子宮筋腫の症状にはどんなものがあるのでしょう?
   子宮筋腫では月経痛、過多月経、子宮筋腫による圧迫症状がある場合などに治療が必要になって
   きます。


        子宮筋腫の治療法には次のようなものがあります。

1.保存療法(子宮を残したままの治療法)
1)対症療法
    生理痛には痛み止め、貧血には造血剤を投与する方法。
2)ホルモン療法(偽閉経療法)
    薬により月経を止め閉経状態とする。子宮は縮小し症状も軽快する。
    投与を中止し卵巣機能が回復すると半年位で筋腫、症状は以前と同様になる。
3)漢方療法
    対症療法、ホルモン療法を希望しない症例、若年例などに用いられる。
4)MRIガイド下集束超音波療法
    超音波の振動エネルギーを利用して子宮筋腫を熱凝縮させる。症状の改善率は約80%で疼痛、
    感染などの合併症が少ない。腹痛、嘔気、火傷が数%に見られる。
    治療は1度につき通常1つの子宮筋腫にのみ行う。比較的長時間(34時間)を要し筋腫の位置
    や腹壁に傷がある場合などは不可能なこともある。保険適応はない自由診療である。
    (50万〜80万前後の施設が多い)施行している施設も限られている。
    ちなみに当院では実施していない
 
5)子宮動脈塞栓術(UAE
    子宮筋腫を栄養している子宮動脈を塞栓物質で塞栓し子宮筋腫を縮小させる方法です。
    詳しくは手術療法の項の後で説明します。
2.手術療法
1)筋腫核出術
   治療後に妊娠を希望されている方、子宮を残したい方に対して行われる。筋腫の発生部位、
   大きさ、数によって以下の手術を選択、または組み合わせて行う。
  1. 腹腔鏡下子宮筋腫核出術 
     腹腔鏡下に筋腫を核出する。傷が小さく術後の回復は早いが、数が多い場合や大きな筋腫
     の場合、高度の癒着がある場合は適応にはならないことがある。 
  2. 子宮鏡下子宮筋腫核出術 
     子宮内腔に突出する粘膜下筋腫に対して行う。 
  3. 腹式子宮筋腫核出術 
     1.2で不可能な症例で行うことができる。
2)子宮全摘出術
    子宮筋腫に対して一般的に行われる手術。子宮の大きさ、分娩歴、癒着の有無に よって
    以下の手術を選択する。
  1. 腹腔鏡下子宮全摘術 
     傷は小さく術後の回復は早いが、大きな子宮や高度の癒着がある場合は適応にならない
     ことがある。
  2. 腟式子宮全摘術 
     お腹に傷はできないが、適応となる症例も限られ
てくる。
  3. 腹式子宮全摘術 
     1.2で不可能な症例に対して行う。

 子宮動脈塞栓術の説明

1.子宮動脈塞栓術の目的、適応、メリット
  子宮筋腫に伴う過多月経、月経困難、圧迫症状などの改善です。手術を希望されない患者さんが
   対象です。将来妊娠希望がある場合は原則的には行いませんが術後の妊娠、分娩例のも
報告
  れています。子宮動脈塞栓術では手術療法に比して短期間の入院(45日)と社会復帰
  (平均12日)、筋腫の部位、数、大きさに関係なく一度にすべての筋腫に対して適応が可能、
  腹部に傷跡が残らない、月経中や重症の貧血を合併していても治療が可能だというような
  メリットがあります。
2. 子宮動脈塞栓術の適応除外
  1)妊娠中もしくは妊娠の可能性がある場合。
  2)閉経後
  3)子宮、卵巣の悪性腫瘍が存在あるいは疑われる場合。
  4)骨盤内に感染症がある場合。
  5)造影剤にアレルギーがある場合。
  6)ホルモン療法(偽閉経療法)中または終了3カ月以内。
3. 子宮動脈塞栓術の方法
  1)     右太ももから動脈に約2mmの細い管(カテーテル)を挿入し腹部大動脈、内腸骨
     動脈を造影後に子宮動脈までカテーテルを挿入します。

  2)     子宮動脈造影後ここに血管塞栓物質を注入し血管を塞栓します。
  3)     対側の子宮動脈にも同様の処置を行います。
  4)     カテーテルを抜去し穿刺部位を圧迫止血し終了です。 
4.治療期間について

  子宮動脈塞栓術の前日または当日午前中に入院、通常術後は34日で退院可能です。但し感染
  兆候が見られたりして入院期間が延長する場合があります。退院後は約1週間で仕事などに社会復
  帰が可能です。

5.予想される治療効果と予後について

  治療終了後3ヶ月で過多月経は約80%、月経痛は約85%の症例で改善がみられます。
  子宮筋腫の縮小は徐々にみられます。筋腫の体積の変化は以下のとおりです。

      1年後 46.3%
      2年後 19.0%
  5年以降の症状改善率は73〜89.5%、再治療率は11〜21%、症状再発率は11〜25%といわれて
  います。子宮動脈塞栓術施行時に塞栓できた筋腫が後日増大することはありませんが、子宮動脈
  以外からの栄養血管を有している筋腫や塞栓術後に発生した筋腫は増大する可能性があります。
  欧米では子宮摘出術に匹敵する治療効果があると評価されています。
  子宮動脈塞栓術後の子宮筋腫の変化を2症例示しています。
    治療効果(子宮筋腫の縮小率)は個人差があります。
6.副作用、合併症について
  塞栓による下腹部痛、発熱はほぼ全例にみられます。通常術後数日で軽快します。
  術後感染症が 12%の確率で発症します。多くは抗生物質などで保存的に治療できますが0.2
  0.8
%に子宮全摘術などの外科的手術が必要なこともあります。

  術後に無月経や卵巣機能不全が生じることがあります。永久的な無月経になる確率は45歳以下で
  03%、45歳以上では714%と報告されています。
深部静脈血栓症、肺塞栓症 海外では4
  の死亡例が報告されていますが、日本での報告はありません。
  子宮筋腫の手術療法と比べるとその発症率、死亡率は低くまた処置時には手術
  と同じように静脈血栓塞栓症予防法を講じています。
7.医療費
  子宮動脈塞栓術は現在保険診療の対象にはなっていません。自由診療で自費となる
  ため外来で10〜20万円、入院で50〜60万円程度、総額60〜80万円になります。

  詳しい話をご希望の方は産婦人科外来まで御連絡してください。